社員旅行は突然に。パート5
社会人編の社員旅行ネタです。
*********
【瑠璃さん「楓の間」においで。3階の角】
高彬から届いたメール見て、固まってしまった。
【楓の間?!何それ】
慌てて打ち返すとすぐに返信が来る。
【楓は嫌?萩の間もあったけど】
違ーーーう!
そういう事を言ってるわけじゃないわよ!
ぶんぶんと頭を振ると
「何やってるの?瑠璃」
同室の女子社員から不審そうに見られ、慌てて笑顔を作った。
「な、何でもないのよ。ちょっと変な迷惑メール、間違って開いちゃって」
「ふぅん。・・・それにしてもさっきの藤原くん、カッコ良かったわよねぇ」
すぐにあたしから関心は移ったみたいなんだけど、いきなりの高彬の話題にドキっとしてしまう。
「ほんと、ほんと」
「まさしく文武両道って感じ。私、浴衣姿にトキメイちゃった」
「わかるー」
「ねぇ、藤原くんって彼女いるのかな」
「うーん、どうかしらねぇ・・。普通に考えたらいるだろうけど」
「いなかったら立候補しちゃうんだけどな」
「藤原くん、どんな子がタイプなんだろう。ねぇ、瑠璃は何か聞いてる?仕事でペア組んでるじゃない」
またもドキって感じよ。
「・・さ、さぁ、そういう話ってあんまりしないから・・・」
「ふぅん、そうなんだ」
「あ、あたし、温泉入ってくるわ」
「今から?私たちは行かないわよ」
「うん、一人で大丈夫よ」
と言うか、一人で行かないとまずいのよ。
「じゃあ、ゆっくり入ってくるから先に休んでてね」
「了解~」
真実味を持たせるためにタオルを持って部屋を出る。
楓の間ってどこだっけ?
確か3階の角の部屋って言ってなかったかしら・・・
なるべく誰とも会わないように階段を使い、2階の踊り場に差し掛かったところで、慌てて引き返した。
「・・・・」
何か今、人が抱き合ってるように見えたんだけど!
しかも男の人は鷹男に見えたような・・・
ま、見なかったことにしよう。
違う階段を使って3階まで上がり、部屋名を確認しながら歩いて行くと、突きあたりに「楓の間」があった。
「・・・・」
左右を見回して、そっとドアノブを回してみると鍵が掛かっている。
ノックをしようとしたところで、人の話し声が聞こえ、慌てて近くの自販機の影に隠れた。
すぐに人の声は遠くに行ってしまったけれど───
い、イヤだわー、まるで悪いことでもしてるみたいで・・・
気を取り直して控えめにノックをすると、カチャリとドアが開き、高彬が立っていて、あたしの手を引き部屋の中に入れると、後ろ手に鍵を掛ける。
そうしてにっこりと笑いながら
「ほんとに来てくれたんだね」
なんて言うから、拍子抜けしてしまった。
「何よ、来なくても良かったの?おいで、なんて書いてあるから万難を排して来たんだけど」
「万難を排して、ね」
高彬は笑い、そのままあたしを引き寄せるとキスをしてきた。
「ちょ、ちょっと・・。抜けてきただけだから怪しまれないように早く部屋に戻らないといけないんだけど」
何とか唇を離して言うと
「小一時間くらいなら変に思われないよ。温泉入ってくるとでも言って出てきたんだろ?」
「え、どうしてわかるの」
「タオル」
「・・・」
「小道具を持って出てきたってことは、瑠璃さんにもそれなりの覚悟があったんじゃないの」
「・・・」
顔を覗き込みながらからかう口調で言われ、押し黙る。
そうかも・・
悔しさやら恥ずかしさやらで、むぅとした顔で睨んでやったのに、高彬は嬉しそうに笑った。
あたしの肩に両手を置くと、少し身体を離して全身を見ると
「瑠璃さんの浴衣姿、初めて見たけど・・」
「けど?」
「うん、いいね」
「・・・」
あたしだって高彬の浴衣、初めて見るわよ・・
「今日はずっと別行動だったし」
「・・うん」
「せっかく旅館なんだし」
「・・うん」
「東京まで豪華賞品、待てないし・・」
「え、豪華賞品ってひょっとして・・・」
「そう、瑠璃さん」
高彬さは人差し指をトンボを採るみたいに小さくクルッと回しあたしの額に当て笑うと、次の瞬間、あたしの身体はふわりと浮き、そのままお姫さま抱っこされていた。
~続きます。(「社会人・社員旅行編」連載中)
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【瑠璃さん「楓の間」においで。3階の角】
高彬から届いたメール見て、固まってしまった。
【楓の間?!何それ】
慌てて打ち返すとすぐに返信が来る。
【楓は嫌?萩の間もあったけど】
違ーーーう!
そういう事を言ってるわけじゃないわよ!
ぶんぶんと頭を振ると
「何やってるの?瑠璃」
同室の女子社員から不審そうに見られ、慌てて笑顔を作った。
「な、何でもないのよ。ちょっと変な迷惑メール、間違って開いちゃって」
「ふぅん。・・・それにしてもさっきの藤原くん、カッコ良かったわよねぇ」
すぐにあたしから関心は移ったみたいなんだけど、いきなりの高彬の話題にドキっとしてしまう。
「ほんと、ほんと」
「まさしく文武両道って感じ。私、浴衣姿にトキメイちゃった」
「わかるー」
「ねぇ、藤原くんって彼女いるのかな」
「うーん、どうかしらねぇ・・。普通に考えたらいるだろうけど」
「いなかったら立候補しちゃうんだけどな」
「藤原くん、どんな子がタイプなんだろう。ねぇ、瑠璃は何か聞いてる?仕事でペア組んでるじゃない」
またもドキって感じよ。
「・・さ、さぁ、そういう話ってあんまりしないから・・・」
「ふぅん、そうなんだ」
「あ、あたし、温泉入ってくるわ」
「今から?私たちは行かないわよ」
「うん、一人で大丈夫よ」
と言うか、一人で行かないとまずいのよ。
「じゃあ、ゆっくり入ってくるから先に休んでてね」
「了解~」
真実味を持たせるためにタオルを持って部屋を出る。
楓の間ってどこだっけ?
確か3階の角の部屋って言ってなかったかしら・・・
なるべく誰とも会わないように階段を使い、2階の踊り場に差し掛かったところで、慌てて引き返した。
「・・・・」
何か今、人が抱き合ってるように見えたんだけど!
しかも男の人は鷹男に見えたような・・・
ま、見なかったことにしよう。
違う階段を使って3階まで上がり、部屋名を確認しながら歩いて行くと、突きあたりに「楓の間」があった。
「・・・・」
左右を見回して、そっとドアノブを回してみると鍵が掛かっている。
ノックをしようとしたところで、人の話し声が聞こえ、慌てて近くの自販機の影に隠れた。
すぐに人の声は遠くに行ってしまったけれど───
い、イヤだわー、まるで悪いことでもしてるみたいで・・・
気を取り直して控えめにノックをすると、カチャリとドアが開き、高彬が立っていて、あたしの手を引き部屋の中に入れると、後ろ手に鍵を掛ける。
そうしてにっこりと笑いながら
「ほんとに来てくれたんだね」
なんて言うから、拍子抜けしてしまった。
「何よ、来なくても良かったの?おいで、なんて書いてあるから万難を排して来たんだけど」
「万難を排して、ね」
高彬は笑い、そのままあたしを引き寄せるとキスをしてきた。
「ちょ、ちょっと・・。抜けてきただけだから怪しまれないように早く部屋に戻らないといけないんだけど」
何とか唇を離して言うと
「小一時間くらいなら変に思われないよ。温泉入ってくるとでも言って出てきたんだろ?」
「え、どうしてわかるの」
「タオル」
「・・・」
「小道具を持って出てきたってことは、瑠璃さんにもそれなりの覚悟があったんじゃないの」
「・・・」
顔を覗き込みながらからかう口調で言われ、押し黙る。
そうかも・・
悔しさやら恥ずかしさやらで、むぅとした顔で睨んでやったのに、高彬は嬉しそうに笑った。
あたしの肩に両手を置くと、少し身体を離して全身を見ると
「瑠璃さんの浴衣姿、初めて見たけど・・」
「けど?」
「うん、いいね」
「・・・」
あたしだって高彬の浴衣、初めて見るわよ・・
「今日はずっと別行動だったし」
「・・うん」
「せっかく旅館なんだし」
「・・うん」
「東京まで豪華賞品、待てないし・・」
「え、豪華賞品ってひょっとして・・・」
「そう、瑠璃さん」
高彬さは人差し指をトンボを採るみたいに小さくクルッと回しあたしの額に当て笑うと、次の瞬間、あたしの身体はふわりと浮き、そのままお姫さま抱っこされていた。
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